拝啓 こけつまろびつ様

あたりまえのことをもっともらしく

ふつうの人ってなに?精神障害について考えてみよう

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今年度に入って精神障害をお持ちの方と付き合うことが多くなりました。

 

精神障害について調べるうちに宇都宮病院事件というものを知りました。

 

宇都宮病院事件(うつのみやびょういんじけん)とは、1983年昭和58年)に、栃木県宇都宮市にある精神科病院報徳会宇都宮病院で、看護職員らの暴行によって、患者2名が死亡した事件である。(Wikipediaより引用)

 

その流れで出合いました。

 

ルポ◇精神病棟 大熊一夫 朝日新聞社 

 

かなり衝撃的な内容で、精神障害とはなにかと考えさせられました。

 

このルポルタージュは、患者として「精神病院」に入り、そこで体験したこと、見聞きしたことを克明に書きつづったもので、その当時としては画期的なものでした。確かに30年以上前という昔の記事ですが、不幸なことに、ここに書かれていることは今でもほとんど現実は変わっていません。未だに日本では病者に対する隔離・収容政策が行われ、30万人以上もの人たちが「精神病院」に閉じこめられています。  信じられない方もおられるでしょうが、ここに書かれていることは、今でも現実のことです。また、電気ショック療法も復活してきています。変わったことと言えば、「適正手続き」と一見病院がきれいになったことぐらいで、入院患者に対する「医療」・「処遇」は今もほとんど同じです。ですから、この本は歴史的な記録などではなく、今の現実の「精神病院」の中の実態を知るために必要な本です。出版社にはこれからもこの本を絶版にしないようにお願いしたいです。  この本の中では、筆者が当時この記事を書いたときに非難されたことを、四つの例に分類して、それぞれに反論をしています。このような非難は今でもあります。その点についても参考になる本です。  この本は多くの人に読まれて欲しいと願っています。 (Amazon 商品の説明より)

 

 1981年発行の古い本ですが、聞く話ですが、精神病院はきれいにはなっているが、内実はあまり変わっていないとのことです。

 

この本では、精神病院に患者と「偽って」潜入取材するところから入ります。そして、精神病の「患者」と自らの違いについて考えます。

 

そもそもふつうってなに?

 

化学らしさには分類がつきものだ。精神病質も例外ではない。「これには十のタイプがある」とドイツの精神医学者クルト・シュナイダーは主張した。

①意思が弱く、誘惑されやすく、根気のない「意思欠如型」

②同情心や後悔、良心に欠け冷酷、残忍な「情性欠如型」

③信念が極めて強く、反対者に闘争的な態度をとる「狂信型」

④自分を実際以上にみせようと大げさに話したり、嘘をついたりする「自己顕示型」

⑤ちょっとしたことでカーッとなる「爆発型」

⑥落ち着きがなく軽はずみで、争いを起こしやすい「発揚型」

⑦気が変わりやすく周期的に不機嫌のとりこになる「気分易変型」

⑧人生に懐疑的で生きる喜びがもてない「抑鬱型」

⑨体の具合がいつもすぐれぬ「無力型」

⑩自信がなく、自体が順調に進まぬ状況や不幸な事件にあうと、かんぐりやすくなり、それがもとで殺人をおかすこともある「自信欠乏型」

(ルポ◇精神病棟 P219)

 

 

自分は①と⑦ですね。

 

そもそも、この分類、あてはめようとすればだれもがどれかしらにあてはまってしまいます。

 

何かしらの凶悪な事件が起こると、自分はそうなのですが、まず精神障害を持っているかを疑います。それは、そのような凶悪な事件を起こしているからには、なにかしらの障害があるに違いないと思うからです。いや、思いたいからです。「ふつう」の人は起こさない。起こすには理由がある。それは「精神障害」だからだと。それで自分自身の精神の安定を図るのです。

 

でもよく考えてみれば、たとえば、殺人だけみると、たった数百年前まで日本では日常的に戦争が起こっていたわけで、日本人はしょせんは首狩り一族です。普通に戦争をし、認められるために首を取り、主君に差し出す。女たちは首にお歯黒を塗り、高貴な人間の首にみせるために化粧をしていました。時代が変われば、戦争に慣れて、人を殺し、手柄をあげられる人が「良い人間」でした。今も一定数この社会には「暴力に向いた人」「戦争に向いた人」がいるはずなのです。その人達がすべて「精神障害」というわけではないでしょう。時代が代わっても人間の本質は変わらないと思います。

 

精神障害」と診断を受けている人も古代なら「シャーマン」などの仕事に就いて、尊敬を集めていたのです。

 

今、精神障害の方とお付き合いして思うこと。

 

精神障害の方も「ふつう」の人もあまり変わらない。紙一重の存在であること。

②継続した適切な支援があれば、犯罪を犯すリスクは減少するということ。逆に言うと適切な支援が不可欠であること。

 

 

精神障害についてもまったくの素人ですが、寄り添いというカタチで付き合っていければと思います。なにをどうするか、まだ支援する手段を持ち合わせていないのです。

 

これからも勉強を続けていきます。